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2014年4月19日 (土)

人間を育てています

ごぶさたしている間にすっかり春になっちゃいました。

この間にもいろいろなことがありましたが、特に「春のワイズ遠足」は楽しかったですね。
ご存知のとおり、今回もまた道のない雑木林の中を探検しました。
川を渡るのに石や木で橋を作ったり、長靴をはいた者がおんぶしたり、創意工夫と相互扶助をしながら楽しく探検してましたね。
ま、結局すっころんで、全身ずぶぬれになってましたが。

さて、今日は、その中の一人、T君のお話です。
彼がワイズに来たのは私の母からの紹介でした。
ADHD(多動性障害)とてんかんと学習障害を持った子で、学校や習い事の先生たちにひどい仕打ちを受けてきた、ということでした。

私は一応、教育に関するありとあらゆる著書を読んできたので、偉そうな肩書きを持った専門科の人より知識はありますが、実際にそういう子を教えてきた経験はまだ数例しかなく、まずは体験授業という形で預かることにしました。

はじめの面談で、「きつく怒ったりするとてんかんの発作が出てたいへん危険ですので、そのときの対処は・・・・」と保護者から言われたので、はて、どうしても怒らなくてはいけない時にはどうしようと、考えていました。

ただ、このときの私も含めてですが、彼がそういう疾患を持っていることによって、周囲の大人が彼に対して腫れ物を触るような扱いをしてきたような感じも受けました。

それはいろんな形でわかるのですが、特に彼の言葉遣いによく表れています。
彼は小学2年生ですが、同級生はもちろん、年上の子や、さらに先生である私に対しても暴言を吐きます。
「おめ~はだれだぁ!」 「先生はこれ、できんのかよ!」

私はすぐに彼がよい方向に向かう方法を見抜きました。

それは「社会性を身につけること」です。

というわけで、たくさんの子と遊ばせ、ほかっておくことにしました。
するとまず、周りの子が彼に「先生にそんな言葉使っちゃだめだよ」と諭しました。
はじめはすぐ私のところに来て、自分の思いどおりに事が運ぶように要求してきましたが、私は相手にしません。
すると、なんとか自力で仲間になろうと、彼の言動が少しずつ変化してきました。
もちろん本人にもきちんと話をしました。
「お前に足りないのは社会性だ。これは人が生きていくうえで一番大事なことだ。お前が今後素敵な人生を歩みたいなら、たくさんの子と交流し、社会とはどういうものか肌で感じてこい。」と。

そんなある日、彼が隣の薬局の試飲コーナーから紙コップを持ってきました。
そして、そのコップが道路に落ちていました。
私はそれを見つけ、彼に「おい、道路はゴミ箱じゃない、ちゃんとゴミ箱に捨てろ。」と言いました。
すると彼が「ち、なんで俺が」と言ってごみをそのままにしたのです。
ブチッ!
「こらぁ~!この道路はお前の私有地か!ゴミ箱にちゃんと捨てろ!!」
しまった!
私はてんかんのことを思い出したがもう遅い。
しかし、彼のその後の行動はいたって普通でした。
普通の子が怒られたときと同じように、目を丸くして驚き、素直にごみを拾ってごみ箱に捨てたのです。

私は確信しました。
この子はただ、きちんと怒られた経験がなかっただけだと。
というわけで、彼に対しても自論の教育どおり、「善いことをしたら褒める、悪いことをしたら叱る」ただ是に基づきこれからも多くの子を育てていきたいと思っています。

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コメント

お世話になります。息子が中学に入学して1か月半、私も福島へ来て1か月半を経過し、生活と部屋の静かさに慣れてきました。
最近の模試の結果を確認しました。勉強については当の昔に息子は私を超えているので、結果を認め、褒めることと「自分の行きたい高校を目指せ」と言うことしかできません。いま先生からみて息子はどう思われますか?
 私は正直、がっかりです。ここで勉強以外の事をお話をするのは違うかもしれませんが、少しお時間を拝借します。
 私は月2回家に帰るようにしています。昨年度までは娘との衝突が多く、息子は自分から見て「優等生」に見えていました。
 しかし最近娘が変わったんです。私自身が身近にいなくなり、家庭や学校内について自分の考えで前に出るようになり、私自身も一緒にいる時間は少ないですが、とてもその事が感じ取れます。
 息子は、自分の事が出来ていないにも関わらず、弟、妹に注意し、しかもクドい。これは私がいても同じでした。流石に私キレました。
 「自分の事が出来てからモノしゃべれ!!」と。勉強も大事ですが、私が求めているのはそこではない。
 子供たちを比較してはいけないとの意見もあるでしょう。しかし個性重視でルールが守られなければ根本的に崩壊すると思っていますので、私は比較するし、ルールは必ず守らせる。正直、喜怒哀楽が夫婦そろって激しいのですし。(笑)
 もう少しで部活も本格的に活動します。ワイズ行事にはできる限り参加すると息子は言っています。
 ワイズ自体学年幅が大きくにも関わらず、垣根なく団体行動(社会性)をしていただいています。まだまだ息子は人間性を高めていけると親バカながら思っています。先生の方からも「人間性・社会性」について息子に指導していただけるようよろしくお願いします。
 そろそろ中間テストの時期だと思いますが、息子とは「学年20位以内」との約束をしています。本人の希望に沿った結果が出るようこちらもよろしくお願いします。
 長文となり申し訳ありません。

投稿: 葛藤中の親父 | 2014年5月14日 (水) 22時13分

コメントを拝見し、息災でいられますこと、まずは安心しました。
また、日々忙しい職責の中でなおご家族のことを気遣われていることに深く感心します。
さて、ご長男のことですが、ワイズでは勉強面はもちろん、生活態度につきましても特に問題なく楽しく過ごしています。
細かい例を挙げると、私の手が混んできたときに代わりに小学生の勉強を見てくれたり、ルービックキューブに夢中になってテスト用紙を忘れていったり、とそんな感じですね。
善い悪い関係なく、子供は親に似ますので、親からすると子供の悪い面は余計目に付くと思いますが、私からは少なくともワイズ内では心身ともに健やかに成長しているように見えます。
中間テストの結果が来週はじめに出ますが、恐らく目標はクリアしています。
私としてはまず本人に頑張ったかどうかのみを確認し、「はい」と言えば褒めようと思っています。
また、本格的に部活が始まれば、また彼の中で変化はあると思いますが、しっかりとこなしていくと思います。
ご長男も含め、ワイズ生全員に「期末まで気を抜かずに突っ走れ」と伝えてあります。
これからもなるべく干渉はせず、でも彼らの行動や心の動きをよく観察し、適宜に的確なアドバイスを与え、自立する日を楽しみに日々指導していきたいと考えております。
また、何かお気づきのことがありましたらお聞かせ下さい。

投稿: ロミオ | 2014年5月17日 (土) 12時57分

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